メッセージ

デザインにおける物語性

デザインに関して、20代は研究・実務、30代は実務、40代は教育・研究・実務、50代・60代は教育・実務・研究といった具合で、研究・実務・教育からなる3分野を行ったり来たり、いやぐるぐる回る感じで、この45年間程、活動してきました。 また、デザイン対象も、モニュメント、彫刻、ファーニチャ、インテリア、建築、公園、道路、都市に至るまで、小さなものから大きなスケールのものまでありました。 デザインという大枠の中で考えれば1分野ですが、今日の専門化・細分化したデザイン分野からすれば、デザイン対象は広範囲に亘り、様々な経験を積むことができたことは幸運でした。

この様な状況下で、デザイン活動において大切なことは、デザイン作品に物語性を織り込むことであると考えています。 ここでの物語性とは、デザイン作品が持つ見る人や使う人の感性を刺激する資質であり、存在内容であります。 従って、優れた小説がその名文により醸成する雰囲気によって読者を堪能させるように、優れたデザイン作品の物語性は、創出された空間やものによって利用者を感動させることができると考えます。

デザイン過程におけるコンセプトづくりとは、この物語性の骨格づくりであり、作品の純粋化・結晶化へ向けた行為であります。 創造的なデザイン作品は、明解で訴求力あるコンセプトによって構築され、味わい深く読み応えある物語性を備えていると思います。 私は、これからのデザイン活動も、美しい物語性を宿す作品を生成できたらと考えています。

 川口 宗敏

Munetoshi KAWAGUCHI